新たなる希望<特別篇> 解説
帝国の逆襲 | ジェダイの帰還
STAR WARS Episode4: A New Hope <Special Edition>
「ファントム・メナス(エピソード1)」の準備と並行して、3年以上の歳月をかけて「新たなる希望(エピソード4)」(1977)、「帝国の逆襲(エピソード5)」(1980)、「ジェダイの復讐(エピソード6)」(1983)というスター・ウォーズ旧3部作(クラシック・トリロジー)の<特別篇>が製作され、1997年初頭に封切られました。
さらに2004年には旧3部作が初めてDVD化され、その際にも幾つか修正が行われました。
中でも「新たなる希望」は製作時にはジョージ・ルーカス監督の構想を十分に表現できるほどの技術や資金がなく、カットせざるを得ないシーンもありましたが、特別篇・DVD版にそれらを追加しより完成度の高いものとなりました。
ここでは細かい変更点を特別篇は青字で、DVD版は赤字で幾つか挙げてみます。
- オープニング
- 20世紀フォックスタイトルバックを変更し、映画「帰らざる川」で使われた音楽を再使用。また、ルーカスフィルムのロゴも変更。
- 脱出ポッドの発射シーン
- タンティブ4から脱出ポッドが発射される際に効果音を追加。
- R2-D2がジャワに捕まるシーンの前後
- 空模様を大幅に追加して日没であることを強調。
- 帝国軍がドロイド捜索をする場面
- オリジナルでは人形でほとんど動かなかったデューバックがCGで登場。また、帝国軍のセンチネル級シャトルを追加。
- ラーズ家に来るサンドクローラーのシーン
- サンドクローラーを大きなものへ変更。
- サンド・クローラー内の場面
- ラーズ家に到着した際の3POのセリフに"We stopped."を追加。
- ルークが二つ夕日を見るシーン
- 映像を赤くしてより日没の雰囲気が出た。
- ルークが二つ夕日を見るシーン
- 二つ夕日のうち下の太陽をより赤いものへ変更。また、映像を暗く修正。
- ルークと3POがR2を探す場面
- 映像を暗くしてより日没後の雰囲気が出た。
- オビ=ワンの登場シーン
- ルークらを襲ったタスケン・レイダー(サンド・ピープル)を追い払うために、オビ=ワンが真似たクレイト・ドラゴンの鳴き声を修正。
- オビ=ワンの隠れ家のシーン
- 遠くから家の全景を映すシーンに変更。
- ルークがオーウェンおじさんの所へ向かうシーン
- オリジナルではカメラのレンズにワセリンを塗って、ランドスピーダーの下をぼかし浮いているように見せていたが特別篇ではしっかりと地面から浮上。
- モス・アイズリーの遠景場面
- 町の領域が拡大。
- モス・アイズリー宇宙港
- スピーダーが町に入るシーンからカンティーナに到着するまで、かなりのシーン(20秒くらい)を追加。人や動物(ロントなど)やドロイド(ASPドロイドなど)を増やして活気のある町にした。また、小説キャラであるダッシュレンダーが乗る「アウトライダー」も登場。
- モス・アイズリー宇宙港
- 特別篇で追加された町に入るシーンで、スピーダーが画面の上からではなく左から登場。さらに、スピーダーの色も鮮明になり、CG化された3POも多少動く。また、特別篇で追加されたスカリアーは減少。
- サンドトルーパーの検問の場面
- インペリアル・マークIVパトロール・ドロイドを追加。
- カンティーナ(酒場)の入り口
- 酒場に入っていく2人連れの客を追加。また、ここでもデューバックをCG化。
- カンティーナ(酒場)のシーン
- 常連客のうちの、デフェルがメラーズに、ラック・シヴラックがケトウォルに差し替えられた。
- ソロとグリードが撃ち合うシーン
- オリジナルではほとんど同時だったが特別篇ではグリードが先に撃った事が判明。
- ソロとグリードが撃ち合うシーン
- オリジナル版に戻してソロとグリードがほぼ同時に発砲するよう変更。
- ジャバがソロに会いにくるシーン
- オリジナルでカットになった1分30秒ほどのシーンを追加。CGジャバ・ザ・ハットが合成ボバ・フェットらを伴って、ソロに借金の催促に現れる。
- ジャバがソロに会いにくるシーン
- 特別篇で追加されたCGジャバをEP1版を元にして改善。
- ミレニアムファルコンが港を出るシーン
- ファルコンがアップになり弧を描きながら逃げて行くシーンをCGで追加。
- 爆破されるオルデラーン
- 爆発が派手になり、わっかもついた。
- フォースの乱れを感知する場面
- オビ=ワンの訓練を受けているルークのライトセイバーの色がなぜかDVD版になって緑色に変色。
- ファルコン入港のシーン
- デス・スターのハンガーの様子を詳細に表現するよう改良。
- ファルコン探索シーン
- 拿捕したファルコン内を探索するストーム・トルーパーが出会い頭に"There's no one here."と会話を交わす。
- デス・スター内部での銃撃戦の場面
- 帝国軍兵士がブラスターを受けた際に発生した火花を消去。
- デス・スター内部の場面
- 監房ブロックの廊下にさらに奥行きを追加。
- ゴミ処理ブロックでのシーン
- ダイアノーガの目を変更。
- 牽引ビームの電源を落とすシーン
- 機器に書かれた"POWER""TRACTOR BEAM"という英語(アルファベット)をスターウォーズ世界の文字(オーラベッシュ)へ変更。
- 突入するストーム・トルーパーの場面
- 3POらのいる部屋へ突入する際にヘルメットをぶつけるストーム・トルーパーの効果音を強調。
- デス・スターでの逃走劇の場面(1)
- ソロがストーム・トルーパーを追いかけるシーンで、追いついた先を単なる行き止まりから大量のトルーパーとタイ・ファイターのいるドッキングベイへ変更。
- デス・スターでの逃走劇の場面(2)
- ルークとレイアが中抜けの場所に出たシーンで声やブラスター音の反響を強化。また、レイアのブラスター音も修正。
- オビ=ワンVSヴェイダー
- ライトセイバーの色がより鮮明になった。但し、一部セイバーの光が消えるシーンが修正されずに残った。
- オビ=ワンVSヴェイダー
- ライトセイバーの色を改善。また、特別篇でも未修正の「発光しないセイバー」をようやく修正。
- 扉の向こうのヴェイダー
- 発光していないヴェイダーのライトセイバーの色を修正。
- 基地へ帰る一行の場面
- 惑星ヤヴィンの真下を通っていたファルコンが右下に移動。また、マサッシ宮殿の発着場に降りるシーンも追加。
- マサッシ宮殿の入口
- マット画で表現されていた宮殿をCG画に切り替え、ドアもゆっくり開くよう修正。
- ビッグズに再会するシーン
- オリジナルではカットされたヤヴィン4でのルークとビッグズ・ダークライターとの再会のシーンを追加。この追加によりビッグズ死亡の際のルークの表情が違って見える。
ビッグズ・ダークライターとは…
オリジナルでは、ヤヴィンの戦いで「レッド3」としてルークらと共に出撃したパイロットとして描かれたが、実はタトゥイーンではお互い親友同士だった。
彼はカットシーン(特別篇でも追加されず)で語っているが一度帝国アカデミーに入学した。しかしその後脱走して反乱同盟軍に加わりヤヴィン4のマサッシ基地に属していた。そしてそこでルークと再会したという訳である。
- ヤヴィン4から戦闘機が飛び立つシーン
- オリジナルでは戦闘機は豆粒のようなものだったが、特別篇でアップのXウイングに変更。また大きくオレンジ色に映っていた惑星ヤヴィンは赤色に変更。雲も増加し、森の様子も微妙に変わった。
- デス・スターへの攻撃シーン
- オリジナルでは2カットに分かれていたものを1カットに統合し、Xウイングパイロットが首を振っている様子も分かるようにした。
- ヤヴィンの戦い
- 戦闘機が増加。また、レーザーの色など細かいところを色々と修正。さらに、合成の跡も見えなくなりアップの戦闘機の描写が増加。加えてCGショットに差し替えたシーンも多い。
- 撃墜されるレッド・リーダーのシーン
- ヴェイダーによって撃墜されるレッド・リーダーのシーンの直前にあったウェッジ(?)の"He is on your tail!"というセリフを削除。
- 弾き出されるヴェイダーの場面
- ファルコンの攻撃によって溝から弾き出された際に、ヴェイダーが発する荒い呼吸音を削除。
- デス・スター爆発シーン
- デス・スター爆破シーンもオルデラーン同様わっかが付き派手になった。
- 祝勝会の場面
- 兵士たちを描いたマットペイントの色を修正。
- エンドクレジット
- エンドクレジットに特別篇スタッフを追加。これによりスクロールの速度を速めた。
- 日本語字幕
- 日本語字幕も特別篇は林完治氏によってリニューアルされた。ちなみにセルビデオ版の字幕も林氏だか劇場版とは微妙に違う。
- 日本語字幕
- 基本は特別篇のものだが河原一久氏が字幕監修者として若干の修正を加えた。
補足1:サブタイトルについて
今では「エピソード4 新たなる希望(Episode IV A New Hope)」という副題が付けられた劇場版第一作であるが、初公開当時はこのサブタイトルがなかった事は有名である。これは当時スターウォーズがシリーズとして確立されておらず、エピソード4を「単作映画」として公開したためである。スターウォーズが全9部作(当時)で第一作がその中の4番目であるということが明かされたのは、エピソード5製作発表の時で、それ以降の再上映やビデオなどではこの表示が追加された。
よってこれは特別篇での修正ではない。
補足2:セリフの違いについて
各映画館に配給するフィルムのマスターは当然の事ながらいくつか存在していた。しかし、エピソード4のサウンド・ミキシング作業は混乱していたため、それらは完璧に同一というわけではなかった。その結果、特に音響やセリフの面において違いが発生してしまう事となる。なお、これらは後に特別篇としてサウンドが再構築された際に修正された。
このマスターの違いによる差異は劇場初公開版DVDで一部確認できる。これは当時の「字幕」と「吹き替え」がそれぞれ別のマスターを基準にしたためと思われる。
- トラクター・ビームの説明シーン
- 3POによるトラクタービームシステムの説明が「英語音声」「字幕」で欠落。
- トルーパーの雑談場面
- 牽引ビームの電源を切るオビ=ワンの裏で雑談するストームトルーパーのセリフが「字幕」で欠落。
- ルーク一行を見つけたシーン
- ストームトルーパーがファルコンに乗り込もうとするルーク一行を発見し攻撃を命じるセリフが「字幕」で欠落。
- ソロを追うトルーパーの場面
- ソロとチューバッカをストームトルーパーが追跡するシーンで「ブラスト・ドアを閉めろ」というセリフが「吹き替え」のみに登場。
帝国の逆襲 | ジェダイの帰還
Last Update 2007/2/17